環境整備
感染対策としての環境整備
福祉施設は、抵抗力の低い高齢者や乳幼児が過ごし、かつ利用者自らが感染予防策をとれないことが多いため、環境整備を確実に行うことが重要です。環境整備の基本は清掃による埃の除去ですが、環境を介したアウトブレイクが報告されることもあり、必要に応じて環境表面の消毒を行う必要があります。
乾燥した環境表面での微生物の生存期間(一例)
介護や保育現場でも問題となる微生物は、長時間環境中に存在することがわかっています。
- MRSAを含む黄色ブドウ球菌・・・7日~7ヶ月
- ノロウイルス・・・8時間~7日
- ロタウイルス・・・6~60日
- インフルエンザウイルス・・・1~2日
- アデノウイルス・・・7日~3ヶ月
- 緑膿菌・・・6時間~16ヶ月
- セラチア菌・・・3日~2ヶ月
これらの微生物による環境からの感染の多くは、手指を介して拡がります。そのため、手が良く触れる場所(高頻度接触表面)とあまり触れない場所(低頻度接触表面)とを分けて考え、それぞれに応じた清掃を行いましょう。
【ここをおさえトク】
清掃は、手がよく触れる場所(高頻度接触表面)とあまり触れない場所(低頻度接触表面)に分けて考えましょう。また、広範囲のアルコール消毒や消毒剤の噴霧など、誤った消毒剤の使い方は危険です。消毒剤の用途や適正濃度、必要な場面を見極めて使用しましょう。
・厚生労働省_医政局:地域医療計画課長通知. 医療機関における院内感染対策について. 平成26年12月19日付
・Axel Kramer et al, How long do nosocomial pathogens persist on inanimate surface? A systematic review, BMC Infectious Diseases,2006
・厚生労働省_老健局:介護現場における感染対策の手引き 第2版. 令和3年3月
・厚生労働省:保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版). 2018(平成30)年3月, p27-30, 69
・大久保憲・尾家重治・金光敬二 編集, 2020年版 消毒と滅菌のガイドライン, へるす出版, p53-54, 108, 187, 2020
環境整備について、情報誌『健康すまいる』のバックナンバーで、解説しています。
●健康すまいる vol,24(2021)
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