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感染対策

過去の常識=現在の非常識!?

消毒剤噴霧の危険性

「環境には多くの病原体がいるから心配だ」と床などの広い範囲を消毒したり、空間に消毒剤を噴霧していませんか?
安易な消毒剤噴霧は「危険で無駄な対策」です!

消毒剤噴霧は危険で無駄な対策?

人体にとって有害

病原体に強い効果を示す消毒剤は、人体への毒性が高いことも多いため、噴霧により空間消毒を行うことは吸入毒性の危険性があります。また、アルコール製剤の場合、引火性にも注意が必要です。そのため、消毒剤は安易に噴霧すべきではありません。
過去、オゾンやホルマリンなどで環境消毒が行われてきましたが、現在では人体への毒性を考慮し、廃止が勧められています。

消毒にかかる費用と労力が無駄

消毒剤は対象物に触れることで効果が発揮されます。環境表面や空間にむやみに噴霧するだけでは消毒剤の触れる箇所にムラができ、十分な効果は得られません。適切な消毒をしなければ、そこに費やした費用・労力はすぐ無駄になります。

環境整備の基本

環境整備の基本は湿式清掃(拭き掃除)です。クロス類でホコリ等を定期的に取り除き、清潔に保つことが重要です。また、環境中の病原体は手によって運ばれるため、よく触るドアノブやスイッチ等は、あまり触らない壁や床より頻繁に清掃すると合理的です。

日常清掃の基本事項

  • きれいな場所から汚い場所へ、部屋の奥から出口に向かって行う。
  • ホコリを立てないように湿式清掃を行う。
  • 一方向へ拭き取る。
  • 目に見える汚れは確実に除去する。
  • 血液等が付着している場合は、汚染部位を広げないように汚れを拭き取り、消毒する。

消毒剤の正しい使用方法

環境消毒は、必要に応じてスポット的に行います。スプレータイプの消毒剤を使用する場合は、クロス類を湿らせて拭くか、吸入しないよう注意して、消毒したい箇所に吹きかけてからクロス類で塗り広げます。なお、血液や体液などには感染性の病原体が潜んでいる可能性があるため、それらで汚染された環境表面は、汚染を取り除いた後、次亜塩素酸ナトリウム製剤等で消毒します。

薬液含浸クロスのメリット

消毒薬の噴霧は、作業者の吸入毒性が問題となるだけでなく、消毒薬が十分に接触しない可能性があるため効果が不確実です。手指の接触頻度の高い環境など、こまめな清掃が必要な個所には、薬液含浸クロスの使用がお勧めです。使い捨てのため薬液調製や不織布等の管理も不要で、手軽に環境整備が行えます。クロスに含浸された薬液の種類によって効能が異なるため、使用場面や、清掃箇所の材質等を考慮して選択します。


・藤田烈;いまさら聞けない 感染対策の常識 完全版 p66~p71,平成19年
・土井英史;見直そう!誤解だらけの感染管理 p73,平成12年