手荒れと感染対策は関係している!?
手荒れは本人だけの問題に留まらず、様々な弊害をもたらし施設全体の感染対策に影響を及ぼすため、手指衛生習慣の見直しやハンドケアの実施により、手荒れを予防することが重要です。
手荒れによる弊害
手荒れは、手洗い剤や手指消毒剤などによる皮膚刺激や季節、気温、湿度などの環境要因、年齢などの個人的要因など様々な要因で発生します。医療・福祉施設で勤務される方々は手指衛生の実施頻度が高いため、手荒れしている人が多いと報告されています。手荒れは本人だけの問題に留まらず様々な弊害をもたらし、施設全体の感染対策に影響を及ぼします。
手荒れがもたらす問題点
- 細菌が定着しやすい→細菌伝播のリスクが増加する
- 乾燥した皮膚が剥がれ落ちる→空気中に飛散し環境を汚染する
- 角層バリア機能が低下する→B型肝炎などの血液媒介感染症の感染リスクが増加する
- ヒリヒリする、消毒剤がしみる→手洗いや手指消毒をしなくなる
手荒れ予防に向けた取り組み
手荒れしていたとしても感染対策上、手指衛生の頻度を減らすことはできません。そのため、皮膚への刺激が少ない洗浄成分を使用した手洗い剤や、保湿剤が複数種類配合された手指消毒剤の使用、皮脂や保湿因子を洗い流すため、手洗いに温水を使用しない、目に見えて汚れがない場合には手洗いよりも手指消毒剤を使用する、手洗いと手指消毒を同時に実施しないなどといった手指衛生習慣を見直すことが必要です。また、ハンドケア剤の使用により手肌のうるおいを保ち、角層バリア機能を補完する等の予防策を日常的に実施し、手荒れしないようにすることが重要です。手荒れがひどい場合には皮膚科等を受診し治療します。
ハンドケア剤選定ポイント
- 使用後にべたつかず作業に支障をきたさない
- 手袋の成分に影響を与えない
- 手指消毒剤の持続殺菌効果に影響を与えない
- 小さな個人用の容器または詰め替えしないポンプ式ディスペンサーの規格がある
・厚生労働省;高齢者介護施設における感染対策マニュアル,2013
・矢野邦夫 著;ねころんで読めるCDCガイドライン,2013
・菊池克子;手指衛生と手荒れ-対応策を含めて,感染対策ICTジャーナル Vol.5 No.2,2010
・WHO;WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care