第9回:インフルエンザ 今冬は流行する?
本格的な冬の到来を迎えました。皆さん元気でお過ごしでしょうか?
さて、新型コロナウイルス感染症 第8波のピークは、年内ではないかとの予測もありますが、この冬は、以下の理由から季節性インフルエンザと同時流行する、ツインデミックの可能性が指摘されています。そのため、国や自治体は関係機関と連携し、医薬品、ワクチン、検査キットや診療体制などの準備を進めています。
この冬にインフルエンザが流行すると考えられている理由
- この夏、オーストラリア(南半球にあるオーストラリアは冬)で、新型コロナウイルス感染症の流行と共に大きなインフルエンザの流行が認められている。
- 本年、国内のインフルエンザ感染者の増加傾向が認められている。
- ここ数年、インフルエンザの流行がなかったため、ヒト体内のインフルエンザウイルスに対する抗体量が減っている可能性がある。
- 海外旅行者の入国制限や新型コロナウイルス感染症対策が緩和された。 など
インフルエンザの感染経路と予防
インフルエンザの流行に備え、もう一度、感染経路や予防方法についておさらいしておきましょう。
主な感染経路
予防方法
感染経路を意識した上で、日頃の健康管理(十分な休養、栄養バランスのとれた食事など)を基本に、以下の点に留意することが大切です。
①感染対策(ウイルスとの接触機会を減らす)
インフルエンザの感染対策は、以下の通り新型コロナウイルス感染症とほぼ共通しています。さらに「3つの密」の回避を求める新型コロナウイルス感染症の予防対策をすることで、インフルエンザ対策にもなります。
1. 接触感染対策
インフルエンザウイルスは、ウイルスの構造上エンベロープウイルスに分類され、アルコール消毒が有効です。
手を衛生的に保つために、目に見える汚れがない場合は、アルコール手指消毒剤による手指消毒を、汚れがある場合は、石けんと流水による手洗いを行いましょう。
2. 空気中のウイルス対策
不織布マスクの着用、適度な湿度(50~60%)の保持、部屋の換気に努めましょう。
感染経路別予防策について、詳しくはこちら
②予防接種(ウイルスに対する免疫を強化する)
インフルエンザワクチンには、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、特に重症化を予防する効果が期待できます。特に重症化しやすい65才以上の高齢者、60~64才の心臓・腎臓・呼吸器疾患をお持ちの方、妊婦、生後6か月以上5才未満の子供さん、加えて、医療関係者、施設の職員の方などは、ワクチン効果の出現期間も踏まえ、流行前に接種を検討しましょう。
新型コロナウイルス感染症との同時流行、事前の備えや発熱したらどうしたらいい?
同時流行が生じると、より多くの発熱患者が発生し、患者が発熱外来等にかかりづらくなる懸念があります。これを回避するため、国は、「事前の備え」と「発熱時などの体調不良時の受診・療養の流れ」について資料を作成し、国民への協力を呼びかけています。参考文献1)に詳しく紹介されていますので、ご参照ください。
また、地域ごとの情報を確認することも重要です。
今季は、新型コロナウイルス感染症はもとより、インフルエンザの流行状況もタイムリーに把握することが重要となりますが、下記の厚生労働省Webサイトで情報を得ることができます。
【厚生労働省Webサイト インフルエンザに関する報道発表資料 2022/2023シーズン】
原則、毎週金曜日14時に発表されています。
*定点当たり報告数とは?
1つの医療機関での1週間当たりの診察したインフルエンザ患者数のこと。「1」以上で流行期に入ったとみなします。複数の定点の平均値なので小数になっています。
おわりに
日本人は新型コロナウイルス感染症への予防対策を真面目に続けるでしょうし、インフルエンザは流行しないと考える人もいますが、油断大敵です。備えあれば憂いなし、with新型コロナウイルス感染症&インフルエンザの備えで、健康で楽しい年末年始を過ごしましょう。
主な参考文献:
1)厚生労働省Webサイト 新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応, https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00003.html(参照2022-11-01)
2)厚生労働省Webサイト 令和4年度インフルエンザQ&A, https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2022.html(参照2022-11-01)