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第2回:後発医薬品(ジェネリック医薬品)について<前編>

こんにちは!今回は、「後発医薬品」とその一種である「オーソライズド・ジェネリック」について2回にわたりご紹介します。今回のテーマは「後発医薬品」です。

後発医薬品(ジェネリック医薬品)の定義

後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは、「先発医薬品(新薬、先発品)」と同じ「医療用医薬品」に分類され、医師の診察に基づき処方されるお薬です。(図1)
「後発医薬品(後発品)」について、審査、承認元である厚生労働省は次のように説明しています。1)
先発医薬品と同一の有効成分を同一量含み、同一経路から投与する製剤で、効能・効果、用法・用量が原則的に同一であり、先発医薬品と同等の臨床効果・作用が得られる医薬品をいいます。研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べ薬価が安くなっています。」


図1:医薬品の分類

利用者にとってのメリット、デメリット

メリット

国が「先発品」と同等(有効性、安全性、品質)であることを保証しているお薬を、「先発品」の3割~5割程度安い価格(全国保険協会HPより)で利用できます。「先発品」にはない、患者に優しいお薬(剤形)を選べる場合があります。
例:小型化錠、口腔内崩壊錠など。

デメリット

デメリット(課題)としては、主に二点あると考えます。

1.「品質」への不安

「後発品」は、その昔は「ゾロ品」と言われ、安かろう悪かろうでしたが、その後、国は、健康保険制度の財政健全化の為、「後発品」の普及が必要と考え、懸案の品質向上に向け欧米の審査基準を導入するなど様々な施策を実施しました。その結果、現在では「先発品」と同等のレベルまで品質が向上し、8割近い使用率まで普及しました。

その矢先、「後発品」への睡眠薬混入が発覚しました。報道によると、厚生労働省に届出の製造手順と異なる作業を行っていたこと、異なる有効成分を誤って仕込んでしまったこと、その後の品質試験等で当該ミスをチェックできなかったこと等が直接の原因のようです。

製薬企業出身としては、このミスはあってはならないことで、ショック!薬剤師としても裏切られた気分・・・

2.有効性、安全性の同等性への不安

「後発品」の有効成分やその分量は「先発品」と同じですが、「外観、添加剤、製造条件」などが異なる(図2)ことから、「後発品」は本当に「先発品」と同じように効くのかという不安です。後発品メーカーでは、開発過程で同等性を確保できるように「外観、添加剤、製法」を工夫し、製造条件を検証しています。加えて発売前に厚生労働省は、世界水準の科学的データをもとに同等性を確認しているため、「先発品」と同じように効くはずなのです。

しかしながら、「先発品」を「後発品」に変更したら、「今ひとつ効きが悪い」と訴えられる方がおられます。厚生労働省の資料によれば、その原因は、1)プラセボ効果、2)耐性の獲得、3)品質の問題が考えられています。

「プラセボ」とは、医薬品に似せた有効成分を含まない偽薬のことで、偽薬でも医薬品だと信じて服用すると効果が現れることがあります。このような効果を考えると、「後発品」に不安を感じる患者さんは、「先発品」を「後発品」に切り替えると十分な効果が得られなくなる可能性があります。2)この課題の改善には、国及び業界が「後発品」の信頼性向上を更に強力に図ることを前提に、患者さんの不安を払拭するような医師や薬剤師による説明が必要と考えます。


図2:先発医薬品vs後発医薬品<同じところ、異なるところ>

*「製剤の外観など」、「有効成分の仕入先」、「添加剤」、「製剤の製造方法」、「製剤の製造工場」
なお、製剤とは、原薬(有効成分)に添加剤を加えて、錠剤やカプセル等に加工し包装したもの。

まとめ

「後発品」への不安感が高まっている状況ですが、国や業界は、強い危機感を持って品質確保・安定供給への種々の仕組みを強化しつつあります。今後は安心して利用できるようになるものと期待しています。
次回は、「後発品」を希望する方が安心して利用するための参考情報として、「オーソライズド・ジェネリック」などを紹介します。お楽しみに!

掲載日:2021年9月22日

1)厚生労働省広報資料
「ジェネリック医薬品への疑問にお答えします~ジェネリック医薬品Q&A~(平成27年2月第3版(データ修正))」,1p.
2)厚生労働省広報資料
「ジェネリック医薬品への疑問にお答えします~ジェネリック医薬品Q&A~(平成27年2月第3版(データ修正))」,15-16p.

筆者プロフィール

山中 巌

薬剤師、薬学修士。サラヤ株式会社 管理薬剤師

経歴
1981年 大阪薬科大学(現大阪医科薬科大学)卒業
1983年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程前期修了
製薬会社にて製剤研究などに従事。定年退職後、調剤薬局勤務を経て、現在に至る。