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第1回:筆者自己紹介、臨床現場で感じたこと

はじめまして!今月よりコラムを執筆します、薬剤師の山中です。
第1回目は、自己紹介や執筆に当たっての思いに触れさせていただきます。

薬剤師を目指すきっかけ

当方、広島生まれのほぼ大阪育ち。大阪市内の下町で、近所の友達と徒党を組んで田んぼ遊びや秘密基地作り、新聞少年なども経験して育ちました。大学はあれこれ迷いましたが、つぶしが効くという父の勧めと、自身もやりがいがある分野と感じ、薬学に進みました。在学中は色々な名物教授と接する中で、「学者や研究者になって新薬を作ってみ たい」と、とてつもない夢を抱き、親に無理を言って、当時はまだ少数派の大学院まで進みました。


製薬会社への就職

大学院修了後、運よく希望の大手製薬会社に研究職として入職。業務は製剤研究という分野です。


製剤研究とは?

新薬の開発の第一段階として、まずは「原薬」(医薬品のもとになる生理活性を有する物質)が生み出されますが、原薬単味では、その性質によって、例えば水に溶けないので吸収されない、吸収が早すぎて効果が出ない、原薬単味ではすぐに分解してしまう、原薬の量が少なくて飲みづらい等の種々の問題が出てくる場合がほとんどです。この問題を解決するため、原薬単味に添加剤を加えたり、使用方法に適した形状にするため物理的な加工などを施すことを「製剤化」、その技術を「製剤技術」と呼んでいます。世の中の医薬品は100%製剤化されています。

水に溶けない原薬を溶かす技術、原薬を安定化する技術、無菌状態で薬を製造する技術等を駆使して注射剤、点眼剤を製剤化する方法の研究に従事し、幸運にも、今も世界の国々で使用されている新薬の創出に携わることができました。


長年の製薬会社勤務の中で、臨床現場でどのような課題やニーズがあるのか直接、医師や患者さんに聞いてみたい、「服薬アドヒアランス」(単に指示通りに服用する(コンプライアンス)のみではなく、患者自身が 医師と連携をとって積極的に治療に参加し服薬遵守をすること)の向上を痛感するようになり、定年後は、医師や患者さんとダイレクトにコミュニケーションが取れる、調剤薬局の世界に飛び込みました。

薬との付き合い方の現状

調剤薬局では、医師、薬剤師、患者さんに加えて、介護施設の職員等と話をする機会に恵まれ、患者さんや施設での薬との付き合い方に、問題点も見えてきました。
患者さんへの印象は、

  1. 医師の診察時に自身の症状、服用中の薬の情報をきっちりと伝えていない
  2. 健康管理をすべて医師頼みにしている人が散見される
  3. 高齢者は、とにかくポリファーマシー(多剤の同時服用による副作用や有害事象)が懸念される

また、介護施設職員の皆さんの印象は、とにかく多忙で、薬の調製なども、施設にて日常的に対応されているが、薬剤師の情報提供が不足しがち。薬剤師がもっと関われるのではないか、等の問題意識を持ちました。

さて、最近の私はというと、今年64才、相撲取りの正代関、モーリー・ロバートソンに似ていると言われます。久々に渋沢栄一著の「論語と算盤」を読み、人の為に働くという崇高な理念に感動と共感を覚えているところです。これまでは仕事一筋(そうでもないかな!?)でしたが、ようやく親の世話に目覚めることとなりました。また自身も老化に伴う身体の衰えを感じ、介護を受ける方のお気持ちが少しは理解できる年頃になってきたのかなと感じています。

最後に、コラム執筆に当たって、町のお薬屋さんの目線、介護する人、される人の目線で、読者の皆様のお困り事への問題解決や季節折々の健康管理上の注意点などを、わかりやすく、かつ簡潔にご紹介したいと考えております。皆様の業務や介護を受ける皆様のご健康、QOL(生活の質)の向上に少しでも貢献できれば幸いです。



筆者プロフィール

山中 巌

薬剤師、薬学修士。サラヤ株式会社 管理薬剤師

経歴
1981年 大阪薬科大学(現大阪医科薬科大学)卒業
1983年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程前期修了
製薬会社にて製剤研究などに従事。定年退職後、調剤薬局勤務を経て、現在に至る。