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感染対策コラム

手足口病

※本コラムは、2018年1月に執筆されたものを一部編集したものです。

“手足口病"や"咽頭結膜熱”、冬に入っても患者が増加、手洗いやうがい、消毒など感染予防対策の徹底を!

今冬も、夏に流行する手足口病や咽頭結膜熱(プール熱)の発症者が多発しています。どちらも、患者数(報告数)が、過去10年間の同時期で最多となっています(国立感染研究所のIDWRから)。
何故、手足口病や咽頭結膜熱の患者が増えているのか、詳しい原因は(専門家も)分かっていないようです。
今冬も、さらに患者が増える恐れがあり、専門家は警戒を呼び掛けています。
手足口病は、子どもを中心に感染する"夏風邪"の一つです。現在、流行している原因ウイルスは、今夏に主流だったウイルスと異なるエンテロウイルスA71型です。このウイルスに感染(発症)すると、稀に中枢神経系での合併症(急性脳炎、髄膜炎など)を引き起こす恐れがあり、過去の流行時に死者も出ています。


また、5歳以下の子供が多く感染する咽頭結膜熱も、"夏風邪"の一つで、アデノウイルスによって引き起こされ、消毒が徹底されていないプールなどで感染するケースが多いため、「プール熱」とも呼ばれています。
咽頭結膜熱も、治療が遅れ、重症化すると、肺炎や肝炎、膵炎を引き起こす恐れがあります。アデノウイルスの感染に季節性はなく、冬季も保育園や学校、温水プールがある健康増進施設やプール教室などで、感染が発生(拡大)するリスクは高く、注意が必要です。
手足口病や咽頭結膜熱は、子供だけでなく、大人も感染します。
乳幼児や高齢者が感染すると、症状が進行しやすく、上記合併症を引き起こすことがあり、要注意です。
発熱や発疹、頭痛、喉の痛み、目の充血や目やになどの症状が出た時は、上記重症化を防ぐため、早めに医療機関を受診し、治療を受けて下さい。
手足口病や咽頭結膜熱の感染予防対策ですが、ワクチンや特効薬がなく、手洗いやうがいの励行、消毒の徹底など基本的な対策が必要になります。
家庭や職場、保育園、学校などで、手足口病や咽頭結膜熱の集団感染が起きないよう、必要な感染予防対策を推進、徹底して下さい。

掲載:2018年1月


筆者プロフィール

横山 浩

1970年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了 薬学博士、薬剤師

職歴
大阪府立公衆衛生研究所(薬事指導部、現食品医療品部)、(社)大阪府薬剤師会試験検査センター、サラヤ株式会社
学会・研究会活動
日本薬学会、日本環境感染学会、日本防菌防黴学会(環境殺菌工学研究部会)、環境管理技術研究会