RSウイルス
※本コラムは、2020年1月に執筆されたものを一部編集したものです。
RSウイルス感染症、介護施設で集団感染、死者が発生。感染予防対策(感染者の早期発見、手洗いやマスク着用、消毒など)の徹底を!
2019年12月に介護施設で、RSウイルス感染症の集団感染による死者の発生事例が、新聞等で報道されています。同年11月から12月にかけて、滋賀県の介護施設で、入所者13人と職員1人の計14人が集団感染し、うち入所者2人(80代と90代の女性)が、急性肺炎で死亡しています。
2014年にRSウイルス感染症が流行した時は、茨城県の介護老人保健施設で、入所者34人と職員2人の計36人が集団感染し、うち入所者2人(50代の女性、80代の男性)が肺炎などを併発して死亡しています。また、2017年12月から2018年1月にかけて富山県の介護老人保健施設でも、RSウイルス感染症の集団感染が発生し、入所者と職員の計49人が発症し、うち入所者13人が肺炎などで入院しています。
RSウイルス感染症は、すでに流行のピークが過ぎ、インフルエンザや感染性胃腸炎に比べ、患者報告数は少ないですが、1月以降も、国内各地で発症者が発生しています。
2019年のRSウイルス感染症の推計発症者数は、12月15日の時点で136,599人に達しています。
RSウイルス感染症の発症者は、そのほとんどが乳幼児ですが、大人や高齢者も感染(発症)しています。
ここ数年、RSウイルス感染症の感染(集団感染を含む)で、毎年、20人前後の死者が出ています(厚生労働省の人口動態調査から)。RSウイルス感染症の致死率は、インフルエンザより高く、約10倍以上と言われています。
インフルエンザ RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の病気で、飛沫感染や接触感染などによって感染し、感染が(知らぬ間に)拡大します。その症状(高熱や咳など)は、風邪やインフルエンザとよく似ています。発症者のほとんどは、軽い症状で止まり、治癒しますが、乳幼児や高齢者、肺や心臓などに基礎疾患がある子供などは、肺炎などの症状を引き起こす可能性があります。特に生後1ヶ月未満の新生児が感染すると、無呼吸を繰り返す呼吸困難など重症化して、死亡することがあります。
RSウイルス感染症は、その存在が(世間に)あまり知られていないため、その怖さを十分に分かっていない人が多くいます。
RSウイルス感染症の集団感染の発生を防ぐため、厚生労働省や国立感染症研究所は、発症者が多く報告されている地方自治体とともに、手洗いやうがい、マスク着用、咳エチッケット、消毒[環境(手洗い場やトイレ、ドアノブ、手すりなど)を含む]など感染予防対策の徹底を呼び掛け、感染が疑われる時は、早めに受診するよう、ホームページなどで注意喚起しています。
家庭や福祉介護施設、保育施設などで、RSウイルス感染症の発生(拡大)が起きないよう、上記感染予防対策を推進、徹底して下さい。
RSウイルス感染症の症状や対策などについて、厚生労働省の「RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)」や、国立感染症研究所の「IDWR 2018年第32号〈注目すべき感染症〉RSウイルス感染症」などで記されており、感染予防に役立てて下さい。
掲載:2020年1月