脱水
加齢に伴い、暑さやのどの渇きに対する感覚が鈍くなるため、季節を問わず、早め早めに、こまめな水分補給を行うことが大切です。
食事や間食時の他、起床時や入浴前後など、定期的に水分補給を促しましょう。
体内の水分量
人間の身体に含まれる水分量は、およそ体重の50~80%で、加齢とともに少なくなります。成人男性は約60%で、血漿に5%、間質(組織)に15%、細胞内に40%分布しています。
身体の中の水の働きは、体温調節(熱の運搬、蒸発による放熱)と栄養素や老廃物の運搬、内部環境を維持(体液の濃度、浸透圧の調整)することで、生命の維持に大変重要です。その水分量は、1日の水分の摂取と排泄により一定に調節されています。食事と飲み水、代謝水(体内で作られる水)で摂取され、尿や便、汗、呼気等から排泄されます。穏やかな環境で普通の生活をしている場合、1日当たりの摂取量と排泄量は、体重が70kgの人では2.5Lとされています。運動等で大量に汗をかいた時には、発汗量に 見合う水分・塩分を補給することが必要になります。
高齢者は、若年者よりも体内の水分量が少ない上、体の老廃物を排出する際にたくさんの尿を必要とします。
体内の水分量 | |
小児 | 約75% |
成人 | 約60% |
高齢者 | 約50% |
脱水による症状
体から水分が減少すると、筋肉や脳、肝臓、腎臓等に十分血液が行きわたらないため、筋肉がこむら返りを起こしたり、意識を失ったり、肝臓や腎臓の機能に障害が起きたりします。そして、熱(高温)そのものも各臓器の働きを悪化させます。また、心臓疾患、糖尿病、精神神経疾患、広範囲の皮膚疾患等も「体温調節が下手になっている」状態です。心臓疾患や高血圧等で投与される薬剤や飲酒も自律神経に影響したり、脱水を招く場合があるため、要注意です。脱水が進むと尿量が少なく、尿の色が濃くなります。
表:脱水による症状
水分減少率(体重に占める割合) | 主な症状 |
~2% | のどの渇き |
3~4% | 食欲不振、イライラする 皮膚の紅潮、疲労困憊 |
5%~ | 言語不明瞭、呼吸困難 身体動揺、けいれん |
熱中症予防としての水分補給
のどが渇いていなくても、こまめに水分補給を行いましょう。
1日あたりの目安は、1.2Lとされています。
- 1時間ごとにコップ1杯
- 入浴前後や起床後もまず水分補給を
- 大量に汗をかいた時は、塩分も忘れずに
*水分や塩分の摂取量は、かかりつけ医の指示に従ってください。
高齢者の水分補給の工夫
液体で摂取しづらい場合、お食事や間食で水分補給することができます。
嚥下機能に不安がある方は、液体での摂取が困難で、水分摂取も不足しがちです。とろみ剤やゼリー剤等の嚥下補助食品を活用することで、水分を摂取しやすくなります。
加熱・冷却不要のゼリー調整食品の活用
ゼリーを活用する場合、ゼリー調整食品の多くは、加熱・冷却といった調理工程が必要になり、実際摂取するまでに時間がかかります。加熱・冷却不要の即席ゼリーの素を利用すれば、短時間で準備ができ、効率的です。
即席ゼリーの素を活用すると、手軽で便利*です!
- 加熱・冷却調理が不要で短時間で用意できる
- 調理スタッフ不在時でも提供できる
- 夜間のゼリー摂取ができる
- 外出時に簡単に使用できる
*サラヤ株式会社の「水分補給の匠」および「らくちんゼリー」の使用を想定しています。